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ヒートショック対策は3点でいい——脱衣所・41度・10分

冬の浴槽での死亡は交通事故より多い。消費者庁の一次データから、費用ゼロで始める順に整理しました。

冬の脱衣所と湯温計

実家の風呂を思い出してみてください。廊下から脱衣所に入った瞬間、空気が一段冷たくなる。服を脱ぐと肩がすくむ。そこから熱い湯にざぶんと入って、「ああ、生き返る」と声が出る——あの一連の流れが、冬にいちばん人が亡くなっている場面です。

親が「昔からこうしてる」と言う熱い湯と長風呂は、若い頃の体には効いていた習慣で、今の体には効きません。そして一人暮らしのあなた自身も、脱衣所が寒いという点では同じ条件に立っています。

この記事は、設備を入れ替える話から始めません。今夜ゼロ円でできることから順に並べます。帰省のときに実家の風呂を点検する、そのための持ち物リストだと思って読んでください。

まず数字を確認します。消費者庁が2020年11月19日に出した注意喚起(厚生労働省『人口動態調査』に基づく集計)によると、高齢者の家及び居住施設の浴槽における死亡者数は令和元年で4,900人。平成20年の3,384人から増えています。

そして高齢者の『不慮の溺死及び溺水』による死亡者数は、平成23年以降、交通事故による死亡者数より多い状態が続いています。「風呂で亡くなる」は、めったに起きない事故ではありません。日本でいちばん身近な死因のひとつです。

季節もはっきりしています。発生月が分かる4,738件を月別に見ると、1月をピークに11月から4月の冬季に集中しています。さらに、家・居住施設の浴槽での事故は、不慮の溺死事故全体の71%を占めます。つまり海でも川でもなく、自宅の浴槽が最大の現場です。

消費者庁が挙げている対策は、入浴前に脱衣所と浴室を暖めること、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安とすること。この記事のタイトルにした3点は、私たちが考えたものではなく、行政の一次資料に書かれている数字をそのまま並べたものです。覚えることは多くありません。

なぜ日本の風呂で、これほど起きるのか。理由のひとつは住宅のつくりにあります。居間だけを暖める個別暖房が主流で、廊下・脱衣所・浴室は暖房の外側に置かれがちです。欧米の住宅で一般的な全館暖房と比べると、家の中に大きな温度差が生まれます。

もうひとつは入浴文化です。シャワーで済ませず、深い浴槽に肩までつかる。熱めの湯を好み、長く入るほど「よく温まった」と感じる。この習慣は日本の冬の楽しみであり、同時にリスクの大きさを決める変数でもあります。

消費者庁が呼びかけている対策が「暖める・41度以下・10分まで」の3点であることを、もう一度見てください。3つとも、温度差と時間をならすためのものです。高い設備を入れるかどうかではなく、家の中の温度の落差を小さくし、熱い湯に長く入らない、という一点に集約されています。

そしてこれは高齢の親だけの話ではありません。集計対象が高齢者であることは事実ですが、寒い脱衣所と熱い長風呂という条件そのものは、年齢に関係なく家にあります。実家で点検した3点を、そのまま自分の部屋の風呂にも当てはめられる、と考えるほうが無駄がありません。家の寒さそのものを見直したい人は、部屋を暖める順番の話や睡眠の環境づくりと一緒に読むと、冬の家全体の設計として繋がります。

冬の脱衣所と湯温計

費用ゼロのものから順に並べます。上から3つだけでも、今夜からできます。

① 入浴の15分前に脱衣所を暖める。まずは0円の方法で足ります。浴槽のふたを外して湯気を浴室に回す、シャワーを高い位置から出して湯を張る、脱衣所の扉を少し開けて浴室の暖気を入れる。廊下から脱衣所に入って「冷たい」と感じなくなれば合格です。

② 湯温を41度以下にする。給湯器の設定温度と、実際の湯の温度は一致しないことがあります。浴槽用の湯温計をひとつ置くと、体感の議論が数字の確認に変わります。親に「ぬるくしよう」と言うより、温度計を置いて「42度になってるよ」と見せるほうが話が早い場面があります。タニタ 浴室用温度計 は目盛りが大きく浮かべて読める型で、ドリテック お風呂用デジタル温度計 はデジタル表示と防水仕様という違いがあります。公開情報で仕様を並べると、選ぶ基準はアナログかデジタルか、浮かべるか吊るすか、の2点に整理できます。

③ 湯につかる時間は10分までを目安にする。時計が見えない浴室なら、砂時計や防水タイマーを置く。長く入るほど温まる、という感覚のほうを疑ってください。

④ 浴槽から急に立ち上がらない。手すりや浴槽の縁に手をかけ、一度座った姿勢を挟んでから出る。

⑤ 食後すぐ・飲酒後・薬を飲んだあとの入浴を避ける。入浴前に「今日はいつ食べた?」と一度確認する習慣にすると、家族でも言いやすくなります。

⑥ 同居者に「お風呂入るね」と声をかける。ひとりで入る家なら、入浴時間を家族に伝えておく。異変に気づく人がいるかどうかが、この事故では大きく効きます。

⑦ ここまでやったうえで、設備を足す。脱衣所に小型の暖房を置くのがいちばん費用対効果が高く、アイリスオーヤマ セラミックファンヒーター は人感センサーや首振りの有無で型が分かれます。工事が必要な浴室暖房乾燥機は最後の選択肢です。電気代の考え方は暖房の選び方で扱った、消費電力(kW)×時間×単価という式がそのまま使えます。

冬の脱衣所と湯温計

帰省前のチェックリストとして、3行だけ持っていってください。脱衣所は入浴15分前に暖まっているか。湯温は41度以下か。湯につかるのは10分までか。この3つは消費者庁が示した目安そのままで、どれも設備の買い替えを前提としません。まず今夜、自分の家で①だけ試してみてください。それだけで、実家で何を見ればいいかが具体的になります。

そのうえで「数字を確認する道具」と「脱衣所を暖める道具」の2つだけは、あると会話が早くなります。湯温計はタニタ 浴室用温度計(アナログ・浮かべる型)とドリテック お風呂用デジタル温度計(デジタル・防水)、脱衣所の暖房はアイリスオーヤマ セラミックファンヒーターが入口になります。下記から価格と仕様を比較できます。冬のあいだだけ使うものなので、置き場所と立ち上がりの速さを基準に選ぶと後悔が少ないはずです。

出典は消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(2020年11月19日)と、同発表資料PDF(厚生労働省『人口動態調査』に基づく集計)。記事末尾にリンクを置いています。

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この記事について

この記事は Tokyo Decoded 編集部のルーカス・ウェーバー(ライター/睡眠・ウェルネス担当・データ検証)が執筆し、編集部が出典の確認と事実確認を行いました。広告主が内容・評価に関与しない編集の独立を方針としています。詳しくは編集ポリシーをご覧ください。

出典・参考資料

  1. 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(2020年11月19日) — 消費者庁
  2. 同・発表資料PDF(厚生労働省「人口動態調査」に基づく集計) — 消費者庁