メインコンテンツへスキップ

カテゴリ: 暮らし

買わない美学、再来。アンダーコンサンプション・コア入門

シンプルな棚と使い込んだ日用品

買わない美学、再来。アンダーコンサンプション・コア入門

hook

「新しい服、買った?」が合言葉だった時代は、もう終わりかもしれません。今、TikTokで爆発的に広がっているのが『Underconsumption Core(アンダーコンサンプション・コア)』。直訳すれば『消費を抑える美学』。使い古した歯ブラシ、何年も使っているマグカップ、母から譲り受けたバッグ——そんな『地味で、長く使っているもの』を誇らしげに見せる動画が、若者たちの間で大きな共感を呼んでいます。派手な購入報告(ホール動画)への反動として生まれたこの流れは、実は日本人にとって、とても馴染み深い感覚なんです。『もったいない』『一汁一菜』『繕って使う』——私たちが昔から大切にしてきた価値観が、いま世界の最先端トレンドとして再評価されている。買わないことが、新しい『かっこいい』になりつつあるのです。

data

数字を見れば、このムーブメントの勢いがよくわかります。ハッシュタグ『#underconsumptioncore』のTikTok総再生数は、なんと2.3億回超え。さらに直近3ヶ月で関連投稿が前期比約400%増という、爆発的な伸びを見せています。投稿者の中心は20代前半のZ世代女性。彼女たちが見せるのは、限界まで使い切ったリップ、10年前のIKEAの家具、洗いざらしのリネンシャツといった、いわゆる『映えない』日常です。背景にあるのは、物価高、気候危機への意識、そしてSNS疲れ。『買って見せる』ことに疲弊した世代が、『買わずに見せる』方向へ価値観を切り替え始めているのです。米Vogueやニューヨーク・タイムズも特集を組み、単なる一過性のミームではなく、消費文化そのものへの問いかけとして注目されています。

アンダーコンサンプション・コアのライフスタイルイメージ

explanation

なぜ今、『買わない美学』なのか。鍵は『誠実さ』への渇望にあります。完璧に整えられたインフルエンサーの暮らしに疲れた若者たちは、リアルで、不完全で、長く愛されているものに美しさを感じ始めました。これ、実は日本文化の核心と完全に重なります。茶道の『侘び寂び』は、欠けや経年変化を美とする思想。『金継ぎ』は割れた器を金で繕い、傷を作品の一部にする技。料理研究家・土井善晴さんが提唱する『一汁一菜』も、足し算ではなく引き算で豊かさを見出す哲学です。さらに『もったいない』という言葉は、2005年にノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイさんが世界に紹介した、日本発のグローバル概念。Underconsumption Coreは、こうした日本的価値観が、TikTokという最新プラットフォームを通じて世界の若者に翻訳されている現象とも言えるのです。

practice

では、明日から始められる『アンダーコンサンプション・コア』な暮らしのヒントを、3つご紹介します。①『使い切りチャレンジ』:化粧品、洗剤、文房具など、家にあるものを最後まで使い切ってから新しいものを買う。空っぽになる達成感は、新品を買う高揚感よりずっと深いものです。②『1イン1アウト』ルール:新しい服を1着買ったら、1着手放す。クローゼットの総量を一定に保つだけで、衝動買いが激減します。③『繕う習慣』:靴下の穴、シャツのほつれ、欠けた茶碗。捨てる前に『直せないか?』と一度考える。最近は東京・蔵前や下北沢で、お直し(リペア)専門店やワークショップも増えています。大切なのは、ストイックになりすぎないこと。『買わない』ではなく『丁寧に選ぶ、長く使う』。これだけで、暮らしの解像度が驚くほど上がります。

使い込まれた日用品と手仕事の道具

cta

『買わない美学』を深めたいなら、まずは日本の知恵に立ち返ってみませんか。土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』は、暮らし全体の引き算を教えてくれる名著。金継ぎを家で気軽に始められる『つぐキット』も、Amazonで手に入ります。そして毎日の記録には、長く使える上質なノートを一冊。MDノートやトラベラーズノートのような、使い込むほど味が出る相棒を選んでみてください。新しいものを買うのではなく、すでに持っているものとの関係を深める——それがTokyo Decoded流のアンダーコンサンプション・コアです。今日から、あなたの『長年の愛用品』を一つ、SNSで誇ってみませんか?